年金月9万円・独居の75歳が熱中症に。CFPが語る「子どもにも生活保護にも頼りたくない」を叶える夏の節約術と支援制度
夏の暑さが厳しさを増す中、あるニュースが私たちの心に深く響きました。それは、年金月9万円で独居暮らしの75歳のお母様が、節約のためにエアコンもつけずに過ごし、熱中症で救急搬送されたという話です。
このお母様は「元気だから大丈夫」と話しながらも、実は困窮していて、しかも「子どもにも生活保護にも頼りたくない」と零されていたといいます。高齢者の「隠された困窮」と、それに伴う「頼りたくない」という強い意思。これは、多くの方が共感する、あるいはご自身の親御様や将来の姿と重ね合わせる問題ではないでしょうか。
私はファイナンシャルプランナー(CFP)として、このニュースから見えてくる課題と、私たちが今からできる具体的な対策についてお伝えしたいと思います。単なる節約術ではなく、安全と尊厳を守りながら賢く生きるための知恵を、ぜひ知ってください。
「頼りたくない」その裏にある高齢者のプライドと現実
「子どもに迷惑をかけたくない」「これまで人に頼らず生きてきたから」――。こうした思いから、経済的に苦しくても助けを求められない高齢者の方は少なくありません。特に、年金が少ない中で物価が高騰し、医療費や光熱費が家計を圧迫する現状では、年金月9万円という収入で健康的な生活を維持するのは非常に困難です。
今回の75歳のお母様のように、生命に関わる危険を冒してまで節約に励む背景には、そうした切実な現実と、誰にも知られたくないという強いプライドがあるのです。
エアコンなしは命取り!安全な夏を過ごすための賢い節約術
「エアコンなし」は、熱中症の直接的な原因となり得ます。しかし、電気代を気にせずエアコンを使い続けるのも難しいという方もいらっしゃるでしょう。そこで、電気代を抑えつつ、安全に夏を乗り切るための賢い方法をご紹介します。
1. エアコンは「つけっぱなし」と「設定温度」が鍵
「こまめに消す方が節約になる」と思われがちですが、実はON/OFFを繰り返す方が電気代がかかることがあります。エアコンは起動時に最も電力を消費するため、日中はつけっぱなしにして、設定温度を28℃程度に保つ方が、かえって電気代を抑えられる場合があります。除湿機能や自動運転モードを上手に活用するのも有効です。
2. 扇風機・サーキュレーターを併用する
エアコンと扇風機やサーキュレーターを併用することで、冷気を効率よく循環させ、体感温度を下げることができます。エアコンの設定温度を少し高めにしても、快適に過ごせるようになるため、電気代の節約に繋がります。
3. 太陽熱を遮断する工夫
- 遮光カーテンの活用: 日中の強い日差しを遮ることで、室内の温度上昇を抑えます。
- 打ち水: 夕方、玄関先や庭に打ち水をすると、気化熱で周囲の温度が下がります。
4. クールグッズや服装で体感温度を下げる
冷却シート、冷感スプレー、接触冷感素材の衣類などを活用しましょう。首元を冷やすネッククーラーなども効果的です。また、通気性の良い、吸湿速乾性の高い服装を選ぶことも大切です。
5. 水分補給はこまめに、そして賢く
喉が渇いていなくても、こまめに水分補給を心がけましょう。麦茶や水だけでなく、経口補水液やスポーツドリンクも活用し、塩分も適度に摂ることが重要です。冷たい飲み物だけでなく、常温の飲み物も取り入れましょう。
「頼らない」を叶える!知っておくべき公的支援・割引制度
「子どもにも生活保護にも頼りたくない」というお気持ちは理解できますが、国や自治体が提供する制度は、困っている人を助けるための「権利」です。これらを活用することは、決して「頼る」ことではありません。賢く利用することで、ご自身の生活を守り、自立した暮らしを続けることができます。
1. 高額療養費制度
今回の救急搬送のように、急な病気やケガで医療費が高額になった場合、自己負担額が一定額を超えると、その超えた分が払い戻される制度です。所得に応じて自己負担限度額が定められており、高齢者は特に優遇されることがあります。医療機関の窓口や加入している健康保険組合に相談しましょう。
2. 地域包括支援センターの活用
75歳以上の高齢者の総合相談窓口です。介護保険サービスの利用相談だけでなく、健康、医療、生活全般に関する悩み事の相談に乗ってくれます。地域の公的支援制度や、見守りサービスなど、ご自身の状況に合った情報を提供してくれる心強い味方です。
3. 介護保険サービス
もし体調が悪く、日常生活に支障をきたし始めているなら、介護保険サービスの利用を検討しましょう。訪問介護やデイサービスなど、自宅での生活を支援する様々なサービスがあります。要介護認定を受けることで利用が可能になります。
4. 低所得者向けの電気・ガス料金の割引や補助金
自治体によっては、低所得者世帯を対象とした電気やガス料金の割引、または補助金制度を設けている場合があります。お住まいの自治体の窓口やウェブサイトで確認してみましょう。
5. 緊急小口資金・総合支援資金
一時的に生活費に困窮した場合に、無利子または低利子で借り入れができる制度です。社会福祉協議会が窓口となっています。急な医療費や、生活費が足りなくなった時に検討できます。
食費・日用品の賢い節約術
日々の生活費の中でも、食費は大きな割合を占めます。賢く節約するコツをご紹介します。
- 献立を計画的に: 1週間分の献立を考えてから買い物に行くと、無駄買いが減ります。
- まとめ買いと保存: 特売日にまとめて購入し、冷凍保存などを活用しましょう。
- プライベートブランドを活用: スーパーのプライベートブランド商品は、品質が良くても価格が安いことが多いです。
- フードロスを減らす: 食べ残しをなくし、食材を使い切る工夫をしましょう。
- 地域の特売日や割引: 近所のスーパーの特売日を把握し、割引時間帯を狙うのも有効です。
まとめ:隠れた困窮を乗り越え、安心の夏を
今回の75歳のお母様のニュースは、私たちに高齢者の「隠された困窮」という現実を突きつけました。しかし、適切な情報を知り、利用できる制度を賢く使うことで、危険を冒すことなく、ご自身の力で安心した生活を送ることは可能です。
大切なのは、一人で抱え込まず、早めに情報収集をすること。そして、必要であれば、地域包括支援センターや専門家(CFPなど)に相談することです。「子どもにも生活保護にも頼りたくない」というお気持ちを尊重しつつ、利用できる社会の仕組みを最大限に活用し、安全で尊厳ある暮らしを維持していきましょう。
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