「家賃より持ち家」は危険?年収580万円・貯金500万円の36歳夫婦が陥った「最悪の事態」を避けるFPの知恵

「無駄づかいしないでよ!」
そんな怒号が飛び交う家庭のニュースを聞くと、胸が締め付けられる思いがします。今回、世間を騒がせたのは、〈年収580万円〉〈貯金500万円〉という一見堅実に見える36歳のご夫婦が「家賃を払い続けるより持ち家」と新築マンションを購入したにも関わらず、そのわずか7年後に「最悪の事態」に陥ってしまったという衝撃的な事例です。
なぜ、このような事態が起きてしまったのでしょうか? ファイナンシャルプランナーとして、この事例から私たちが学ぶべき教訓と、同じような落とし穴に陥らないための具体的な対策を解説します。住宅購入を検討している方、すでに購入済みで不安を感じている方は、ぜひ最後までお読みください。
なぜ「最悪の事態」は起こるのか?住宅購入に潜む落とし穴
年収580万円、貯金500万円の36歳夫婦が新築マンションを購入し、7年後に「最悪の事態」に直面したというニュースは、多くの人に衝撃を与えました。多くの方が「家賃を払い続けるより持ち家の方が良い」と考えがちですが、そこにはいくつかの落とし穴があります。
1. 住宅ローンの「借りられる額」と「無理なく返せる額」のギャップ
金融機関が提示する「借りられる額」は、あくまで現時点の収入を基にした上限額です。しかし、将来のライフイベント(出産、子どもの教育費、親の介護、自身の病気など)によって、家計の状況は大きく変化します。特に変動金利型を選んでいた場合、金利上昇リスクも無視できません。無理なローンを組んでしまうと、毎月の返済が重荷になり、家計が圧迫されてしまうのです。
2. 購入後の維持費の見落とし
新築マンションは、購入費用だけでなく、毎月の管理費や修繕積立金、固定資産税といった「維持費」が必ず発生します。これらの費用は、年数が経つにつれて増加する傾向にあり、購入時には見落としがちです。これらが家計を圧迫し、「無駄づかいしないでよ!」といった怒号が飛び交う原因となることも少なくありません。
3. ライフプランの変化への対応不足
36歳夫婦であれば、これから子どもの成長や教育費の増加、あるいは転職や収入減といったライフプランの変化が十分に考えられます。購入時の計画が、そうした将来の変化に対応できる柔軟性を持ち合わせていないと、いざという時に資金繰りが困難になり、「最悪の事態」へと繋がってしまうのです。
「これなら私にもできる!」住宅購入で後悔しないためのFP流チェックリスト
では、どうすればこのような「最悪の事態」を避け、安心して持ち家を所有できるのでしょうか? ファイナンシャルプランナーとして、具体的な手順と注意点、そして実践することで得られるメリットを解説します。
1. ライフプランニングで「将来の見える化」を図る
【具体的な手順】
- 家族構成、子どもの教育計画(私立・公立)、定年退職時期、老後の生活費など、将来のライフイベントを具体的にリストアップします。
- それぞれのイベントに必要な資金を概算し、いつ頃、いくら必要になるかを書き出します。
- 現在の収入と支出、貯蓄額を基に、将来のキャッシュフロー表を作成し、住宅ローン返済が加わった場合の家計の変化をシミュレーションします。
【注意点】
- 楽観的な見通しだけでなく、病気や失業など、万が一の事態も想定した上で、予備費の確保を計画に盛り込みましょう。
- 住宅ローン返済額は、手取り月収の25%以内を目安に設定すると、無理なく返済できることが多いです。
【実践することで得られるメリット】
将来の漠然とした不安が具体的な数字で「見える化」され、住宅購入が家計に与える影響を事前に把握できます。これにより、無理のない資金計画を立て、安心感を持って住宅購入に臨めます。
2. 住宅ローンの賢い選び方と無理のない返済計画
【具体的な手順】
- 変動金利、固定金利、ミックス型など、金利タイプごとのメリット・デメリットを理解します。金利上昇リスクを懸念するなら固定金利、金利が低いメリットを享受したいなら変動金利ですが、それぞれにリスクとリターンがあります。
- 複数の金融機関の住宅ローンを比較検討し、最も条件の良いものを選びます。金利だけでなく、保証料や手数料なども含めた総支払額で比較しましょう。
- 毎月の返済額だけでなく、ボーナス返済の有無や繰り上げ返済の条件なども確認します。
【注意点】
- 「家賃感覚で」と安易に返済額を決めるのではなく、将来の教育費や老後資金とのバランスを考慮した上で、無理のない返済計画を立てましょう。
- 変動金利を選ぶ場合は、金利が上昇しても対応できるよう、月々の返済額に余裕を持たせるか、貯蓄を厚くしておくことが重要です。
【実践することで得られるメリット】
自分に最適な住宅ローンを選び、将来にわたって安定した返済計画を立てることで、家計の負担を軽減し、金銭的なストレスから解放されます。
3. 見落としがちな「維持費」も予算に組み込む
【具体的な手順】
- 購入を検討しているマンションの管理費、修繕積立金、駐車場代、固定資産税、火災保険料などの年間費用を事前に確認します。
- これらの維持費を毎月の家計支出に組み込み、住宅ローン返済額と合わせた総住居費を計算します。
- 将来的に修繕積立金が増額される可能性も考慮し、余裕を持った予算組みを心がけます。
【注意点】
- 新築当初は修繕積立金が安く設定されていることがありますが、将来的に値上げされるケースが多いため、長期的な視点で考える必要があります。
【実践することで得られるメリット】
購入後の予期せぬ出費に慌てることなく、安定した家計運営が可能になります。これにより、「無駄づかいしないでよ!」という悲鳴を上げずに済みます。
4. 家計の見直しと賢い節約術
【具体的な手順】
- 毎月の収入と支出を詳細に把握し、家計簿アプリなどを活用して「見える化」します。
- 固定費(通信費、保険料、サブスクリプションサービスなど)から見直し、不要な支出は削減します。
- 変動費(食費、娯楽費など)は、予算を設定し、その範囲内でやりくりする習慣をつけます。
- 住宅ローン控除など、利用できる税制優遇制度は積極的に活用し、還付金は貯蓄や繰り上げ返済に充てることを検討します。
【注意点】
- 無理な節約はストレスにつながり、長続きしません。楽しみを犠牲にしない範囲で、持続可能な節約術を見つけることが大切です。
- 住宅ローン控除は、年末調整や確定申告を正しく行うことで適用されます。初年度は確定申告が必要なので、忘れずに行いましょう。
【実践することで得られるメリット】
家計にゆとりが生まれ、精神的な安定につながります。また、浮いたお金を将来のための貯蓄や投資に回すことで、資産形成を加速させることができます。
まとめ:計画的な「持ち家」で豊かな人生を
今回の36歳夫婦の「最悪の事態」のニュースは、私たちに「家を買う」ことの重みと、事前の準備の重要性を改めて教えてくれます。
「家賃を払い続けるより持ち家」という考え方自体は間違っていませんが、その選択が将来にわたってあなたの家計と家族に幸せをもたらすかどうかは、入念なライフプランニングと資金計画にかかっています。
ファイナンシャルプランナーとして、私は皆さんが安心して豊かな生活を送れるよう、具体的なサポートを提供しています。もし、住宅購入や家計に不安がある場合は、一人で抱え込まずに専門家にご相談ください。計画的な「持ち家」は、あなたの人生をより豊かにする強力な味方となるはずです。
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